「簿記1級の独学は何がしんどいのか」
「簿記1級には独学で合格できるのか」
「独学の途中で挫折しないか」
簿記1級の独学を始めるにあたり不安に感じる、これらのリアルを実体験ベース答えていきます。
この記事では以下の内容について解説します。
- 簿記1級の概要
- 簿記1級の独学は地獄だった5つの理由
- それでも簿記1級に合格できた理由
- 簿記1級に効率的に合格したいなら通信講座一択
私は社会人4年目の時に1年2か月の完全独学の末に簿記1級に合格しました。
合格したからよかったものの、合格するまでは何度も挫折を味わったり、最後まで不安を感じていたりの地獄の日々でした。
- 日系大手事業会社にて経理歴5年
- 第164回簿記1級試験に合格
- 決算業務、法人税&消費税申告業務を担当
- 簿記学習や経理マンの仕事論を当ブログにて発信
簿記1級の概要
簿記1級は非常に難易度が高く、取得することができれば会計のプロとして仕事をすることが可能です。
日商簿記検定を運営している日本商工会議所では簿記1級のレベルを以下のように定義しています。
「極めて高度な商業簿記・会計学・工業簿記・原価計算を修得し、会計基準や会社法、財務諸表等規則などの企業会計に関する法規を踏まえて、経営管理や経営分析を行うために求められるレベル。合格すると税理士試験の受験資格が得られる。公認会計士、税理士などの国家資格への登竜門。」
参照元:日本商工会議所HP
上記の簿記1級の定義を見ても非常に難易度が高く、且つこれから会計のプロとして活躍していきたい方にとっては有用な資格であることがわかります。
尚、簿記1級は以下の4つの科目で構成されており、100点満点中70点以上で合格となります。
※1科目でも10点未満の科目があれば合計が70点を超えていても不合格となりますのでご留意ください。
- 商業簿記
- 会計学
- 工業簿記
- 原価計算
簿記1級の独学は地獄だった5つの理由
簿記1級を取得すれば経理マンとしての箔が付き、今後のキャリアの幅が大きく広がる。
このように考え簿記1級の取得を独学で目指した訳ですが、すぐに大きな壁にぶつかることになりました。
簿記1級の独学は地獄だった5つの理由を解説します。
- 試験範囲が広すぎる
- 各論点の深い理解が必要になる
- 苦手科目を作ってはならない
- 勉強時間の確保が難しい
- 自分のレベルがわからない
独学が地獄だった理由①試験範囲が広すぎる
簿記1級は商業簿記/会計学/工業簿記/原価計算の4科目で構成されており、試験当日はこれら4科目を1日で受験することになります。
※正確には商業簿記/会計学で90分、工業簿記/原価計算で90分という構成です。
1科目だけでも簿記2級と同じくらいのボリュームがあるにも関わらず、それを1日で4科目も受験するため、独学当初は膨大な試験範囲に圧倒されてました。
TAC出版から販売されている「スッキリわかる」シリーズを例に例えると、簿記2級の場合は商業簿記と工業簿記でそれぞれ参考書1冊ずつの計2冊でした。
一方、簿記1級になると1科目あたり参考書2冊となり、計8冊に増えたため参考書の量だけでも4倍に相当します。
独学するにあたり簿記1級はこれまでの簿記3級や2級とは比べ物にならないくらい試験範囲が広いという事は事前に認識しておくべきでした。
独学が地獄だった理由②各論点の深い理解が必要になる
試験範囲が広いことだけならまだしも、簿記1級は一つ一つの問題に対してかなり深い理解を求められます。
例えば簿記2級でも出題されるリース会計を例にとると、簿記2級ではファイナンス・リースかオペレーティング・リースの2種類しか出題されません。
簿記1級ではファイナンス・リースに分類された場合、さらに所有権移転ファイナンス・リースなのか、所有権移転外ファイナンス・リースに分類の上、処理を進める必要があります。
また、簿記1級ではリース資産の借り手側だけでなく、貸し手側の処理も出題されます。
このように簿記1級では数多ある論点の内、リース会計一つとってもかなり深い理解が求められます。
浅く広くしか会計を学んでこなかった私にとって、これほど深い理解を求められる試験は独学当初は苦痛でしかありませんでした。
独学が地獄だった理由③苦手科目を作ってはならない
簿記1級は商業簿記/会計学/工業簿記/原価計算の4科目で構成されており、100点満点中70点以上で合格になる試験です。
ただし、4科目のうち1科目でも10点未満の科目があれば、その時点で不合格となります。
極端な話、仮に商業簿記/会計学/工業簿記の3科目をそれぞれ満点(25点)をとることができ、合計75点だとしても、原価計算が10点未満だと不合格になります。
つまり、簿記1級検定を運営している商工会議所は4科目のうち1科目でも苦手科目があれば不合格にしますと言っているのです。
試験範囲が膨大で且つ深い知識が問われることを考えると、どれか1科目は苦手科目になってもおかしくないですが、そうなると落ちるのが簿記1級試験です。
独学が地獄だった理由④勉強時間の確保が難しい
簿記1級の独学を始めたのはちょうど社会人3年目になったタイミングで、会計税務分野の難しい仕事を任せられるようになっていました。
そのためアベレージで40時間/月は残業しており、決算や税務申告の繁忙期になると残業時間が60時間を超えることもありました。
このような状況で勉強時間を確保するのは非常に難しかったです。
独学当初は仕事の後に2時間程度机に向かっていましたが、仕事の疲労感もあり勉強した内容は全く頭に入ってきませんでした。
そこで、仕事が始まるまでにその日にやるべき勉強のほとんどを終わらせる、朝活重視のスタイルに変更しました。
朝活に変更してからの勉強スケジュールは以下のような感じです。
5:00 起床
5:30-9:00 簿記1級学習
9:00-20:00 仕事(週4在宅勤務)
20:00-21:00 休憩(夕飯、お風呂)
21:00-22:00 簿記1級学習
22:30 就寝
日中に時間を確保することが難しい社会人は朝活で勉強時間を確保することがおすすめです。
独学が地獄だった理由⑤自分のレベルがわからない
過去問演習を通して合格ラインに達しているかどうかを測ることはできますが、周りと比較して自分がどのレベルなのか測ることはできません。
講座に通っている場合は予備校が主催する公開模試などを活用して周りとの実力差を定量的に把握することができるため、自分の勉強方法があっているのか確かめるのに良いと思います。
私は独学していた時は公開模試の存在を知らず、ただひたすら過去問と戦っていたので、もしこれから独学をする方は公開模試も活用して自分のレベルも把握することをおすすめします。
それでも簿記1級に独学で合格できた理由
ここまで記載してきた通り簿記1級を独学するのは本当に地獄でした。
途中で何度も挫折しそうになりましたが、最後まで独学を継続してなんとか合格することができました。
その理由について解説します。
- 簿記1級を取得したい理由が明確だった
- 受験までのスケジュールを明確にしていた
- 良い参考書に巡り合えた
独学で簿記1級に合格する方法については以下に記事で詳細に解説しているので、こちらもチェックしてみてください。
それぞれ詳細を見ていきましょう。
簿記1級を取得したい理由が明確だった
私が独学の地獄の日々を耐え抜くことができた一番の要因は、簿記1級を取得したい理由が明確だったからです。
主に以下の3点が簿記1級の取得を目指した理由でした。
- 日々の業務に直結する知識を得て仕事で活躍したい
- 経理マンとして箔を付けたい
- 経理以外のキャリア(コンサル等)の選択肢を増やしたい
今後のキャリアを考えると簿記1級という客観的に専門性を測る指標を持っていることは必ずプラスになるだろうと考えていました。
簿記1級の取得を目指した当初の気持ちは以下の記事に記載しているので、気になる方はこちらもチェックしてみて下さい。
簿記1級を取得することでキャリアの幅が広がり、会社に縛られず自分の意志でキャリアを選択できると思うと、20代の貴重な1年間を簿記1級の勉強に費やすことは費用対効果的にも悪くないと思います。
実際、簿記1級の勉強を通して会計の専門性は高まり、転職市場でもこれまで声がかからなかった大手企業からオファーが来るようになりました。
受験までのスケジュールを明確にしていた
簿記1級に合格することができた2つめの要因は、独学を始める前に受験までのスケジュールを明確にしていたことです。
具体的には勉強期間を①インプット期②問題演習期③試験直前期の3つのフェーズに分けて独学のスケジュールを立ててました。
さらに、各フェーズでやるべきことや取り組む参考書を明確にしていたため、日々の勉強内容に自信を持つことができました。
ちなみに各フェーズでは以下の内容を取り組んでいました。
インプット期:参考書の内容をひたすら読み込む&付属問題で問題演習
問題演習期:応用問題集を別途購入し苦手論点つぶし
試験直前期:過去問10年分+予想問題集をそれぞれ5周ずつ
これから独学を始めるという方は参考にしてみて下さい。
良い参考書に巡り合えた
簿記1級に合格することができた3つ目の要因は、簿記1級初学者の私でも理解できるように解説された良い参考書に巡り合えたことです。
書店に行くと簿記1級関連の参考書は多く並んでいますが、その中で私が選んだのはTAC出版から販売されている「スッキリわかる日商簿記1級」です。
こちらの参考書はイラストを用いて丁寧に解説してくれているため、初学者であっても迷子にならず各論点の大事なポイントを理解することができます。
市販の参考書を活用して独学を検討している方にはおすすめの参考書の一つです。
簿記1級に効率的に合格したいなら通信講座一択
結果的に私は市販の参考書での独学を通して1年2か月で合格できましたが、今振り返ると通信講座を活用した方が効率的に学習できたと思っています。
通信講座を活用することで以下のようなメリットがあります。
- プロの講師の解説を通してスムーズなインプットが可能
- 学習カリキュラムが組まれているためスケジュール管理が容易
- 質問制度を活用することで苦手論点の徹底的な対策が可能
実績と講座内容から自信をもっておすすめできる通信講座を3社紹介します。
資格の学校TAC
TACの簿記1級通信講座では先行学習講座も含めると全部で81回の講座が用意されています。
簿記1級のための簿記2級復習講座も含まれているため、簿記2級を合格してから間が空いている方も安心して受講を進めることができます。
さらに、電話質問や質問カード制度も整っているため、疑問に感じたことはその都度つぶしていくことができるのも魅力的です。
申し込み時期によっては早割特典により割引が適用されるため、通信講座での学習を検討している方は是非チェックしてみてください。
スタディング
スタディング簿記1級講座の最大の魅力は圧倒的なコスパの良さです。
約7万円という低価格でありながらプロの簿記講師の解説動画(全168回分)を視聴することができます。
スマホやタブレットでの学習を前提として論点ごとに細切れに解説動画が作成されているため、忙しい社会人にとっては魅力的な講座設計となっています。
さらにQ&Aサービスも付属されているため、疑問点はそのままにせずに苦手論点をつぶしていくことが可能です。
スタディングの簿記1級講座は2023年度において44名の合格実績を誇りますので、実績も十分です。
資格の大原
大原の簿記1級講座は簿記2級レベルの知識を有してる方向けに9か月という短期集中での合格を目指すカリキュラムとなっています。
全65回の講座と直前模試及び公開模試が含まれており、講座はもちろんのこと模試の内容についても大原のプロ講師陣が検討を重ねて作成しているため非常に心強いです。
メールや電話での質問対応を行ってくれるため、苦手論点をそのままにせずに都度つぶしていくことができます。
この講座のクオリティで価格は97,800円(税込)となっているため、コスパ的にもかなりお得感があります。
まとめ
この記事では簿記1級を独学する日々が地獄だった5つの理由を解説しました。
独学で簿記1級に挑むのは非常に大変ですが、参考書や通信講座選びをミスしなければ必ず合格できる試験です。
これから簿記1級の独学を検討しているという方は以下の記事で再現性ある独学方法5ステップを解説しているので、こちらの記事も参考にしてみて下さい。