FRBの金融引き締めが株式市場に及ぼす影響と2022年の投資戦略

FRBの利上げの影響と対策 株式投資

 

コロナ禍の2020年4月から投資を始めた方は米国株の堅調な推移を実感している人が多いのではないでしょうか?
私も約1年半の間は米国株をメインに投資しており年率20%以上のリターンを記録することができました。

しかし、2022年はこのように堅調な推移にはならないと予想されます。

それは米国で供給網の混乱を発端とするインフレが継続しており、2022年には米国の中央銀行にあたるFRBがテーパリングの終了や年3回の利上げを実行する見込みがかなり高いためです。
さらに2022年1月に公表されたFOMC議事録の要旨ではFRBが保有する資産の縮小も示唆されています。

※テーパリング:英語の”tapering”のことで、”taper”は先細りを意味します。政策金利が実質ゼロ水準で、これ以上の引き下げ余地がない状態における金融緩和策として、量的緩和があります。
量的緩和は、住宅ローン担保証券や国債などの金融資産を中央銀行が買い入れることで、市中への資金供給量を増やし、景気刺激を狙います。一方のテーパリングとは、量的緩和の金融資産の買い入れ額を順次減らしていくことをいうのです。(参考:WEALTH JOURNAL)

そこで本記事では2022年にFRBにより行われる金融引き締めが株式市場にどのような影響を及ぼすのかを解説し、それを踏まえて2022年の投資戦略について考察したいと思います。

 

2022年からFRBは利上げやバランスシートの縮小を示唆

2022年1月のFOMC議事録の要旨では以下の内容について示唆されていました。

  • 利上げ開始に必要な最大雇用は比較的早く達成可能
  • 従来想定より早期に、早いペースでの利上げの可能性(2022年3月から)
  • 利上げ開始後にFRBが保有する資産縮小を示唆(バランスシートの縮小)

要するにFRBが目指す雇用の最大化は予想より早く達成が可能であり、かつインフレ率も高止まりしているため想定よりも早く金融引締めを行う可能性が高いというものです。

一般的にFRBが利上げやバランスシートの縮小を行うを株価に対してネガティブに影響するといわれています。
では、これらの金融政策が株価にどのように働くのかを見ていきましょう。

 

利上げによりなぜ株価下落リスクが高まるのか?

 

そもそも利上げとは、一言でいうとFOMCがフェデラルファンドレート(FFレート)の上昇を決定することです。

米国の民間銀行は政府系の銀行である連邦準備銀行に預金額に応じた準備金を一定額を預け入れなければなりません。しかし、中には預入額が不足している民間銀行もあるため、民間銀行間で資金を融通します。

その際に適用されるのがFFレートであり、FOMCはこのFFレートで適用される金利を上昇させようとしているのです。そして、市場に出回るお金の量を少なくして(金融引締め)インフレを抑制しようとしているのです。

一般的にFOMCによる利上げが行われると以下の理由で株価が下落すると言われています。

利上げにより株価が下落するロジック
  • FOMCがFFレートの利上げを決定する
  • 世界の投資マネーが米国に向かい米ドルが買われる
  • 民間銀行が企業に貸し出すお金の金利の上昇
  • 借り入れが多い企業は支払利息が増大し、設備投資が消極化
  • 業績が悪化する企業が多くなり、株が売られる

上記は理論上考えられていることですので必ずしもこの通りになるとは限りませんが、投資を行う上で考慮しておいて損はないでしょう。

 

バランスシートの縮小によりなぜ株価下落リスクが高まるのか?

 

2022年1月に公表されたFOMCの議事録ではバランスシートの縮小を示唆する内容も見受けられました。ここからは、もしバランスシートの縮小が実施されたら株価にどのような影響があるのかを見ていきましょう。

そもそもバランスシートの縮小についてですが、FRBはコロナショックを緩和するための施策として2020年から市場に大量の資金を供給してきました。
その方法として米国の国債や政府支援企業が発行するMBS(住宅ローン担保証券)等を購入しました。

その結果、現在FRBのバランスシート(貸借対照表)の資産の部には大量の国債やMBSが計上されています。

このバランスシートに計上された国債やMBSを市場に売りに出すことをバランスシートの縮小と言います。

では、バランスシートの縮小が実施されるとどのような影響があるのでしょうか?

バランスシートの縮小による株価への影響
  • FRBが段階的に保有している国債やMBSを売りに出す
  • 市場に供給される資金量が減少
  • 国債の利回りが上昇し株式よりも魅力的な投資対象になる
  • 投資マネーが株式から債券に移動し株価が下落

以上がバランスシートの縮小時に考えられるシナリオです。

しかしバランスシートの縮小により一部の投資マネーが国債に移ったとしても、キャッシュをしっかりと稼ぐことができる企業の株価は今後も安定的に伸びる可能性も十分考えられます。

 

2022年の投資戦略

上述の通り2022年は利上げやバランスシートの縮小により理論上は株価が大きく下落するリスクもあります。このリスクがある中で私の2022年の投資戦略について記載したいと思います。

結論、利上げ局面ではハイテク・グロース銘柄を中心に株価が下落する可能性は高いと思いますが、引き続きコアでSP500への積み立て、サテライトで半導体銘柄への個別株投資を継続する予定です。

また、利上げ局面ではPERの高いハイテク銘柄が売られる一方で、バリュー株が多いエネルギーや銀行株は上昇する可能性もあります。

そのため、2022年はエネルギーセクターや金融セクターのETFを購入することも視野に入れています。

2022年は大規模な金融緩和により生まれた金融相場から企業の決算をよりシビアに見る業績相場に移ります。そのため、しっかりと利益やキャッシュを計上できない企業はかなりつらい相場になると思いますが、一方で何年も順調に利益を計上してきた大型企業は一時的には下落しても長期で見たら伸長していくと考えています。

 

まとめ

 

この一年は10%以上の下落局面が何度かあるといわれています。

下落局面で狼狽売りしないためにも自分の中でしっかりシナリオを構成して売買のタイミングを決めていきたいですね。